忍者ブログ
1/365 days
2025/02月
≪01月  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28   03月≫
[198] [197] [196] [195] [194] [193] [192] [191] [190] [189] [188
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

 目を開けると、そこは灰色の世界だった。

「おや、裏切り者の名をもつ男。気分はどうだい、お水はいるかい?」

 ――と、思っていたら、とても甲高くてなんだかひょうきんな声が聞こえてきた。仕方なく、そちらに目をやる。
 どうやら自分は寝台の上に横たわっていたようで、首を回しただけで灰色の世界は簡単に果てが見え、寝台の端の方からひょこりとのぞく、二対の視線と目が合った。
「……」
「ああ、もうっ。人のことを無視しようなどと、いささか勝手が過ぎるというもの。そうではないかね、裏切り者の名をもつ男」
 どうも自分は夢を見ているらしい、と判断して寝返りを打とうとすれば、焦ったように声が上がった。それでもやっぱりひょうきんなその声に、しぶしぶもう一度視線をめぐらせ、相変わらず寝台の端からこっちを見つめる声の主をねめつける。
 そいつは(全くもって非常にありえないとは思うのだけれど)、黒猫、に見えた。
 見えた、とちょっと自信のない言葉になるのは、今までにそいつほど大きな猫を見たことがないからだ。ドーベルマンほどの大きさの猫だと。ふざけるにもほどがある。
 そして、これまたこちらが目を疑いたくなることに、その猫の頭の上にいるのはどう見ても――そう、ヒヨコという生き物だ。それも、なぜか黒い。
 目の前に展開する光景につっこめばいいのか、それとも非常識な光景を映す我が目を心配すればいいのか、反応に困って黙っていると、猫は満足そうに(そう、猫らしく!)ごろごろりと喉を鳴らした。
「ふむ、重畳重畳。なかなかに元気そうではないか。これなら、彼女もさぞ喜ぶはず」
「よろこぶはず」
 したり顔でうなずく猫に、ひよこが上からたどたどしく相槌を打つ。
「……最近の猫は、いつから声帯が使えるようになったんだ」
 それにそのサイズ、と。
 そのいかにも珍妙な様子にかすれる声でついつぶやくと、問いかけが耳に届いたか、猫は器用に片眉を跳ね上げた。……見たくない。
「おや、魔女の隣にしゃべる猫はつきもの。それがいささか大きいとて、気にするにはあたるまいに」
「あたるまいにっ」
 首をかしげる猫の上で、ずり落ちそうになって必死にもがきながらも、ひよこが誇らしげに繰り返した。
 いや、十分気にすることだ。
 そう突っ込もうとして、しかしそこでふと何気なく紛れ込んだ言葉に気がつく。
「……ま、じょ?」
「そう」
 猫は自慢げにぴん、とひげを揺らした。

「ようこそ、裏切り者の名をもつ男。我らが主、魔女エチセーラの小さな居城へ」







 あ、ごめんなさい。色々と追いつめられるというか煮詰められると、不意に創作ものを書きたくなる罠。
 不死の男と不老の魔女(登場しなかったけれど)のお話。エチセーラ、はスペイン語でそのまま魔女のこと。男の人をユド、フーダス、ジュダ、どの名前にするかでちょっと迷い中。
 わたしの一番書きやすいのって、実は上の黒猫のような、狂言回しみたいなキャラなので、二次ではなかなか出せなくてちょっと辛い。ナウシカの漫画版に出てくる道化なんか、大好きです。あとは……ダンテの2辺りに出てくる、あのピエロみたいな人。
 というわけで、もうちょこっとだけ沈んできます。すみま、せ、ん 。
PR
カレンダー
01 2025/02 03
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28
時計
ブログ内検索
最新コメント
[05/20 理恵]
[03/12 沙依]
[03/01 こま]
[02/25 こま]
[08/18 みお]
カウンター
バーコード
リンク

Powered by Ninja Blog
template by Temp* factory    phot by FOG.
cat of model by Cat Cafeねころび

忍者ブログ [PR]