わぁ、と一角から上がった歓声に、ティアはそちらへと首をひねった。
情報収集に、と立ち寄ったケセドニアの酒場は明るい日差しに慣れた目にはいささか暗く映るものの、外よりはるかに涼しく、居心地がいい。けれども、その一角だけは、妙に熱気があふれて見えた。
「なんだなんだ?」
隣の席から親善大使の少年が首をのばしてきょろきょろする。テーブルの向こうにいるナタリアとアニスも似たりよったりだ。ただ、男二人だけが、何かを心得たように笑う。
「これはまた、いいところに来たな、俺たち」
「まったくです」
「え? ガイ、何か知っているの?」
「まぁ見てなって」
振り返ってみても、ガイは笑うばかりで何も答えない。その様子に、さらに問いを重ねようとしたときだった。
たんっ。
床に何かを打ちつける、硬い音に、ティアはとっさに首を戻した。そして、息をのむ。
いつのまにか、客の間から、すらりとした女性が進み出ていた。黒髪に黒い肌、身につけたドレスだけが赤で、それが目につく。
酒場の真ん中、ちょうど広場になったようなそこで女性は立ち止まると、何かを待つように、束の間、天井を見つめた。その表情にはっとする。
いつのまにか、女性の後ろで、客らしき男たちが数人、テーブルを独特なリズムで叩きだしていた。三拍子が二回、二拍子が三回。その合間合間に裏拍がはいる。
たたん。拍子に合わせ、女性が一歩を踏み出した。と思う間もなく、それは前に後ろにと激しいステップに移り変わる。女性が動くにつれ、腰がうねり、靴音が鋭く鳴る。前に後ろに、右に左に、そして見事な一回転。ふわりと赤がなびく。
激しい足の動きに反して、腕の動きはゆるやかだった。まるで空中に紋を描くように、あるいは観る者を差し招くように、ゆうるりと腕が大きく、そしてしなやかに動く。
ケセドニアの民族舞踊だよ。ガイが隣で言うが、その声も遠いどこかから聞こえるようにおぼろげだ。
不意に高く片足をあげた、その姿勢で静止したかと思うと、前よりいっそう小刻みに、そして激しくなるステップ。ひらめく腕。その度ごとに赤い裾が鮮やかに空を流れる。
いつのまに舞が終わったのか。ティアにはそれさえも定かではなかった。気がつけば女性は動くのをやめて頭を下げていて、辺りは万雷の拍手に包まれていた。いいもの見たな、と口々に言いながら仲間たちが立ち上がる。
「ほら、ティア。行きますよ」
うながされ、ぼんやりとティアは席を立った。ふわふわと心もとない足取りで、仲間たちの背を追う。
酒場の出入り口に向かって歩き出す彼女の脳裏には、あのひるがえる赤がいつまでも残って消えなかった。
歌っていうか……踊りです、ね。わたしの趣味モロ出しですみません……。
アクゼリュスに行く途中のケセドニアで、ティア。踊りは、フラメンコをイメージしましたー(分かりやすい性格だな、お前)。こんな場面あったらいいよ! ティアさんは、意外に箱入りなところがあるので、外殻に出てから、ひとつひとつのことに新鮮に驚いていたらいいと思います。
ただ今、懐古主義に走っているのか何なのか、幼いころにすれ違った映画やアニメが観たくてたまらないです。ただ、大抵は名前が分かるのだけど、ひとつだけ名前が分からないのがあって……。
ええと、どなたか、羽根の生えた女の子を、ごついあんちゃん二人が施設から助け出して、崩れゆく道路から飛ばせる、っていうアニメ(?)映画をご存じないでしょうか……? 確か、昔、「ゴジラVSデストロイア」を父と観に行ったとき、直前に上映されていたのですが……(そろそろ世代がばればれだぞこま!)。幼心にも映像のきれいさにびっくりしたのですが……うーん、あれ、なんなんだろう……。
他に観たいものは、空飛ぶベッドとニモという名の男の子が登場した、その名も「ニモ」というこれもアニメ映画(うちのおやじさまが上から実写版ター○ルズを録画して消しちゃったんですよね……涙)、それから気になっているのに一度も見たことがない「キイ」(あ……古いですかそうですねすみません)、そしてアキラの映画版(うろ覚えなんだよなぁ)。あ、なんだか、アニメものばっかり。しかも、全部ちょっと古い。っていうか、世代が違う……? あ、銀河鉄道999も改めてまたちゃんと観たいです!(ジャンルばらばら……)
……話についてきてくださる方がいらっしゃるのか不安になってきたので、そろそろ打ち切って、レスしていきたいと思います。ちょ、こんなにくださって、ありがとうございます……!
拍手レス>
6/17 10:18 ソラさまへ
は、はじめましてっ。
∑あ、あのようなもので喜んでいただけていいのでしょうかわたし! すみません、更新した割に
実は、今ようやく、全体の○分の一のところだったりします(○って……)。このペースでいくと、完結までにどのくらいかかるのかなー……とぼんやりと思っているところです(苦笑)。夏休みにできるだけ進めておきたいなっ。
そのうちにぼちぼちと、本編からのこぼれ話も書いていこうと思っていますので、のんびりおつきあいいただけると幸いです(*^_^*)
拍手もメッセージも、ありがとうございましたー!
6/17 23:17 brb待ってましたー!!!! の方へ
す み ま せ ん ー !!!!!
渾身の言葉に、きっとすごく待ってくださっていたんだろうなーと思うと、反省することしきりです……orz そこの青い猫型ロボットよ、そのポッケに文才は入っておりませぬか。
これからはまたもうちょっとまともなペースでぼちぼち更新していくつもりです。……15,6話辺りで詰まりそうなので怖いのですが(^_^;)
応援メッセージ、ありがとうございました! 励みになります!
6/17 23:49 brb更新ありがとう!!!!!!!!!!! ~ の方へ
更新にありがとうと言っていただいたのは初めてです(笑)。そそそんな、むしろこちらの方がお礼を言わなければっ。
とりあえず、今後の目標及び予定として、アッシュオンリーまでにひげの人までちゃんと出そうと決めているので、今月中の更新は達成されると思いますですよ!(語尾が変)
話としてはだいぶ進んでいるのにあんまり動きのなかった今回と違って、次はもう少し動きがあるお話になる……はず、です。うん、たぶん。
もうすぐ夏だしテストだし休みだしで、もうちょっと更新の方もスピードあげていきたいなぁと夢見ています(オイ)。頑張りますね!
素敵なお言葉を、ありがとうございましたー!
一言レス>
6/18 さなさまへ
こんばんはですー。いつも温かいメッセージを本当にありがとうございますっ。こんな文章でもさなさまを幸せにできるのでしたら本望ですよー!
brbにも反応いただけてよかった……! というか、あああ、泣かないでください泣かないで! アッシュ、ルーク、今すぐ近くのスーパーでティッシュを大人買いしてくるんd(黙) ……あう、すみません。
本当、七歳児はいいかげんそろそろ自分を労わることを覚えてほしいですよね!(ですよね! ってお前な……) アッシュにバレたら、怒られるどころじゃ済まないんじゃないかしら……。最後には、幸せでいっぱいにして笑わせてあげたいものです。確かに労わるアッシュは想像つきませんね……そして、その直後の文章を読んでつい、猫アッシュの首にリボン巻きつけてルークに差し出す図を想像して悶えてしまったわたしは一度ローレライの剣でどつかれてくるべきなのだと思います(……)。い、いや、ほんとルークにはアッシュを全力でプレゼントして差し上げたいです……!
∑た、確かに、ホラーチックに見えるかもですね、昨日のガイ話! その場合、きっと、突如出現した小さい頃の自分から全力で、かつ華麗に逃げ回る使用人の姿がバチカルのあちこちで目撃できるかと……あれ、怖い話なのに、なんでギャグになるんだろう……?
アビスアニメ化、ほんと楽しみですよねっ。わぁ、さなさまも確かめてこられたのですね! 確かにサン○イズさんのところの普段のアニメとはちょっと方向性が違うので「ん?」と思わないこともないですが、でもあそこの映像は綺麗なので、実はどきどきしていたりします(笑)。綺麗な赤毛たちが見れるなら、それでいいかなーと。それにほら! タルロウEXとか洟垂れの椅子とか洟垂れとか(え?)、実はアビス内にも結構ロボはおりますし!
いたわりの言葉もありがとうございますー。最近、曇っている割に暑い日が多くて不思議ですよね……ともかく、丁寧なメッセージ、どうもありがとうございましたーっ!
6/18 ミナキさまへ
は、はじめましてっ!
「これはわたし、もしかして口説かれてる?!」と画面の前でうっかりどきどきしてしまいましたこまです(やめなさい)。素敵な殺し文句の数々に、身悶えし、て、ました……っ。
そそそんな! 以前からなんて、もうもうありがとうございますとしか……!
ルークにキュンキュンしてくださってよかったです! 今回、また例によって、書きあがった後に隅っこの方で一人反省会をしていたもので……orz ルークのもってるあのまっすぐさやひたむきさの何分の一かでも表わせてればいいなぁと思っています。
萌を差し上げられていたなら、よかったですー。では、ミナキさまの次の休みまでに、何としても、次の補充分を書きあげねばですねっ!(笑)
うちのサイトの赤毛たちを好きと言っていただけて、本当に嬉しいです。そう言っていただけると、更新の励みになります。これからも、萌のために頑張ります!(萌のためですか)
ミナキさまも、頑張ってくださいねー。あ、でも、ご無理はなさらず、ほどほどに。