1/365 days
考えたら、折角のイベントに何もしないのもなーということで、軽く小話を。
これからは時間がない時でも、イベント事のときにはせめて何か小話程度のものは書こうと決意。去年なんて何もしませんでしたからねー……。
というわけで、mixにゃんこ設定で保護者組のお話。甘さは当社比10倍くらい? まあ、たまにはこんなのも。
これからは時間がない時でも、イベント事のときにはせめて何か小話程度のものは書こうと決意。去年なんて何もしませんでしたからねー……。
というわけで、mixにゃんこ設定で保護者組のお話。甘さは当社比10倍くらい? まあ、たまにはこんなのも。
リビングのドアを開けるなり視界に飛び込んできたものに、クラウドは思わず立ち止まってしまった。肩から荷物が重い音を立てて落下する。
その音を聞きつけたのか、死角になっていた廊下の方からセフィロスが顔を出した。子供たちはもう寝てしまったのか、出迎える気配はない。
「ああ、帰ったのか」
風呂上りなのだろう、水気を含んだ長い髪を無造作にタオルで包みながら歩いてくる相棒を見上げ、クラウドは居間に飾られた「それ」を指差す。
「なあ。あれ、何なんだ」
「あれ……?」
一瞬怪訝そうに眉をしかめたセフィロスだったが、すぐに「ああ」と得心したようにうなずき、居間をのぞきこむ。
「昼間、ザックスとガイラルディアが持ってきた。何でも今日は願い事をする日だとかいう話でな」
「……ああそうか、今日は七夕か」
そこでようやく事と次第を理解して、クラウドは居間の奥へと目を戻した。
そこにあったのは、一本の見事な竹だった。開いた窓から夜風が入るたびに、きれいに張った枝ぶりが優しく揺れている。
七夕というのはウータイの伝統行事の一つで、短冊と呼ばれる紙に願い事を書いて葉竹につるす。本当はもっと由緒や詳細な段取りがあるらしいのだが、ウータイ人が移民する際に簡略化されたのか、ウータイ以外ではあまり知られていない。
言われてみれば、重なり合った葉の間から色鮮やかな紙片がちらちらとのぞき見えている。
「セフィロスも何か書いたのか」
竹に近づきながら尋ねると、「まさか」と後ろにいる気配が苦笑する。
「オレがそんなことをすると思うか。……まあ、子猫たちとティファのところの子供たち、それからうちのアパートの者たちは何やら騒ぎながら書いていたようだが」
「光景が目に浮かぶよ」
笑いながら短冊の一つを手に取ってみる。
たまたま触れた赤色のそれは、どうやらルークが書いたものらしい。のびのびとした筆跡が不揃いな大きさで、けれど一字一字丁寧にしたためられている。
何の気なしにそれを読んだクラウドは、そこに書かれていた内容に軽く目を見張る。
「『クラウドが、早く帰ってきますように』……?」
「その隣の紙も見てみろ」
背後から促され、言われるままに隣にあった橙色の紙を引っくり返す。こっちはアッシュのものなのだろう、几帳面に整えられた文字が肩を寄せ合いながら並んでいる。
その羅列をさっと追って、クラウドは「ああもう」と口元に笑いをにじませた。
「どうして二人して同じ願い事書くんだよ」
「これほど長くお前が家を空けるのは久しぶりだったからな、寂しかったのだろう」
「長くっていっても、二三日だろ」
首をすくめる気配を感じ、クラウドは顔を巡らせた。いつの間にか隣に立っていた相棒は、シドやザックスのものらしい短冊を眺めては「なんだこの汚い字は」と顔をしかめている。
その横顔を眺めるうちになんとなく茶目っ気がわいて、顔をのぞきこんでみる。
「あんたは願わなくてよかったのか」
「お前がここに帰ってくることはわかっているんだ。どうして願う必要がある」
即答された内容につい笑ってしまった。忍び笑う声を聞き咎め、セフィロスが何だというように見下ろしてくる。
訝しむ視線に「なんでもない」と笑って返し。
クラウドは伸びあがって、やや高いところにあるその唇にかすめるようなキスを贈ったのだった。
その音を聞きつけたのか、死角になっていた廊下の方からセフィロスが顔を出した。子供たちはもう寝てしまったのか、出迎える気配はない。
「ああ、帰ったのか」
風呂上りなのだろう、水気を含んだ長い髪を無造作にタオルで包みながら歩いてくる相棒を見上げ、クラウドは居間に飾られた「それ」を指差す。
「なあ。あれ、何なんだ」
「あれ……?」
一瞬怪訝そうに眉をしかめたセフィロスだったが、すぐに「ああ」と得心したようにうなずき、居間をのぞきこむ。
「昼間、ザックスとガイラルディアが持ってきた。何でも今日は願い事をする日だとかいう話でな」
「……ああそうか、今日は七夕か」
そこでようやく事と次第を理解して、クラウドは居間の奥へと目を戻した。
そこにあったのは、一本の見事な竹だった。開いた窓から夜風が入るたびに、きれいに張った枝ぶりが優しく揺れている。
七夕というのはウータイの伝統行事の一つで、短冊と呼ばれる紙に願い事を書いて葉竹につるす。本当はもっと由緒や詳細な段取りがあるらしいのだが、ウータイ人が移民する際に簡略化されたのか、ウータイ以外ではあまり知られていない。
言われてみれば、重なり合った葉の間から色鮮やかな紙片がちらちらとのぞき見えている。
「セフィロスも何か書いたのか」
竹に近づきながら尋ねると、「まさか」と後ろにいる気配が苦笑する。
「オレがそんなことをすると思うか。……まあ、子猫たちとティファのところの子供たち、それからうちのアパートの者たちは何やら騒ぎながら書いていたようだが」
「光景が目に浮かぶよ」
笑いながら短冊の一つを手に取ってみる。
たまたま触れた赤色のそれは、どうやらルークが書いたものらしい。のびのびとした筆跡が不揃いな大きさで、けれど一字一字丁寧にしたためられている。
何の気なしにそれを読んだクラウドは、そこに書かれていた内容に軽く目を見張る。
「『クラウドが、早く帰ってきますように』……?」
「その隣の紙も見てみろ」
背後から促され、言われるままに隣にあった橙色の紙を引っくり返す。こっちはアッシュのものなのだろう、几帳面に整えられた文字が肩を寄せ合いながら並んでいる。
その羅列をさっと追って、クラウドは「ああもう」と口元に笑いをにじませた。
「どうして二人して同じ願い事書くんだよ」
「これほど長くお前が家を空けるのは久しぶりだったからな、寂しかったのだろう」
「長くっていっても、二三日だろ」
首をすくめる気配を感じ、クラウドは顔を巡らせた。いつの間にか隣に立っていた相棒は、シドやザックスのものらしい短冊を眺めては「なんだこの汚い字は」と顔をしかめている。
その横顔を眺めるうちになんとなく茶目っ気がわいて、顔をのぞきこんでみる。
「あんたは願わなくてよかったのか」
「お前がここに帰ってくることはわかっているんだ。どうして願う必要がある」
即答された内容につい笑ってしまった。忍び笑う声を聞き咎め、セフィロスが何だというように見下ろしてくる。
訝しむ視線に「なんでもない」と笑って返し。
クラウドは伸びあがって、やや高いところにあるその唇にかすめるようなキスを贈ったのだった。
PR
この記事にコメントする
カレンダー
時計
ブログ内検索
最新コメント
[05/20 理恵]
[03/12 沙依]
[03/01 こま]
[02/25 こま]
[08/18 みお]
アーカイブ
カウンター