「その髭、いい加減うざい。眉毛も気持ち悪い。今すぐ剃れ。ここで剃れ」
出会いがしらの言葉の刃の数々にざっくり抉られてよろめきながらも、マルクト軍第六師団のその男はかろうじて言葉を返した。
「……そちらはつつがなくお暮らしのようで喜ばしい限りです、先生」
「誰がつつがないもんか、このたわけ。そのたわしじみた眉毛剃るついでにその目を医者にえぐりだしてもらってこい」
……あ、沈んだ。
とりつく島どころか石の一かけらすらない冷たい言葉の前に、ついにヴァン・グランツ――ホド流の正式名で呼ぶならヴァンデスデルカ・ムスト・フェンデという名の彼はたまらなくなったものらしい。普段は威厳をまとったその背がその場に崩れ、男泣きに震えだす。
哀愁を漂わせたその姿を見かねて、フリングスはつい横手から声をかけてしまった。
「お久しぶりです、ストライフ殿」
泣き崩れるヴァンをひえびえとした眼差しで見下ろしていた彼は振り返り、フリングスを見るや、打って変わって笑みを浮かべた。(同時に足もとで「せ、先生!」という声が上がったが、二人とも黙殺した)
いつも思うが、変わり身のすごい人だ。
「ああ、フリングス少将。毎度お疲れ様です」
「毎度……ということは、もしかしてまた呼ばれましたか」
主語と目的語を省いたせりふだが、十分意図は伝わったらしい。途端に渋面に戻ってうなずいた彼に、ははあと苦笑する。
「こちらこそ、いつもうちの陛下がご迷惑をおかけしてすみません」
「別にフリングス少将のせいじゃないです。おれはただ、あの道楽バカに怒っているだけですので」
「……本当に、申し訳ありません」
一国の王を語るにはいささか礼儀に欠けた言葉ではあるが、この場合はもう頭を下げるしかない。
我らがピオニー・ウパラ・マルクト9世陛下は万事においてそつのないお方だが、時折己の趣味のままに赴くところがある。被害の大抵は彼の部下であり幼馴染であるグランツ准将や高名な科学者であるディスト博士などにいくのだが、時たまこうやって運び屋の青年を呼び出しては厄介事のおすそわけをしたりするのである。
「今度は何を思いついたんだか……ロクなことじゃなければ、潰す」
不穏につぶやくクラウドの手にバットによく似た、けれどもそれ以上に殺傷能力のある武器を見出して、フリングスは背筋を冷たい汗が伝い落ちるのを感じた。
何を、何で潰すのか。詳細はちょっと聞きたくない。
「……あまり、手荒なことはなさらないでくださいね」
言ってはみたが、はたして効果はどれだけあるだろう。
フリングスのいやな予感はただただ膨らむ一方だった。
内容なんてない、なmixのクラウド&ヴァン&フリングスinマルクト帝国。クラウドによるヴァンいじめが書きたかっただけです。クラウドの中での、ヴァンとピオニーの地位はセフィロスに勝るとも劣らないほどに低い(そこで勝ってはいけない気が……)。ヴァンはクラウドを敬愛しているといいです。そんでもって、ピオニーは「クラウド」と名付けたぶうさぎを所有しているものと思われます。歪んだ愛情ってやつですね。
ブログのPC版の方、携帯に合わせてチェンジしてみました。携帯が空で、PCは海。いいなぁ、今年の夏は海行きたい!(いきなり何を)
先日のソルオン、大好きな方がフリーペーパー配布していらしたみたいで、「あああやっぱり行っておけば……」と後からどんよりしていました。課題の終わった今だから言えるんですけどね。(来週までの課題がまだあるのだけれど)
長編の方はまだ進んでいなくて、こっちも「あああ」な状態。5月末までになんとか15話あげたいものだけど。