「ほら」
そう言って顔の前に鏡を差し出す。
それをしげしげとのぞきこんだ子供は、ややあって、そこはかとなく微妙な顔でノワールを見上げたものだ。
「……なぁ。この髪型って、ノワールの趣味?」
「馬鹿お言いでないよ」
なんとも失礼な言葉に、ノワールは憮然と返した。
「だってさぁ……」と情けなさそうに眉を下げる子供の赤い後ろ頭は、まるでひよこの後ろ姿のように、襟足がぴんぴんと跳ねている。ノワールのこの数十分間の努力の結晶だ。
あれだけ格闘した末の結果に心密かに落胆しながらも、ノワールは子供からケープ代わりにしていたタオルをはぎとった。拍子に、細かな髪がはらはらと落ちる。
「文句があるなら、その派手な癖毛に言うんだね。……それとも、もういっそ丸刈りにしてあげようか?」
「わ、ごめん! 文句なんてない、ないからっ」
これ見よがしに持っていた鋏を鳴らしてみせれば、子供は大げさなほどにびくついて椅子から跳ね上がった。冗談だというのに、まったくもって失礼な話だ。
ノワールは鼻を鳴らすと、鋏をしまいこみながら、未だ警戒している子供へとひらひらと手を振った。
「ほらほら、ぼさっとしてないで。ちりとりか何か持ってきな」
「え、なんで?」
「後片付けだよ。このノワール様直々に散髪してあげたんだから、そのぐらいするのが筋ってものだろう?」
「……別にいらねぇと思うんだけど」
「何言ってるんだい。ほら、さっさと行く!」
半眼で睨むと、子供は渋々と部屋から出て行く。
やれやれとそれを見送って、ノワールは「さて」とタオルを広げた。今の内に、付着している髪の毛をはたき落としておいた方がいいだろう。
そう思ったのだが。
「あらん?」
ノワールは目を瞬いた。広げたタオルは、いっそ不自然なほどにきれいだった。
はてと首を傾げかけ……そこでふと床に目を落とし、声をなくす。
それなりに積もっていたはずの髪の毛が、どこにもなかった。
「これはまた……見事な髪型でゲスな」
「ひよこみたいで似合うぜ、坊や」
「うるせー! しかたないだろ、どうしても跳ねちまうんだって!」
廊下から、部下たちと子供とがじゃれあう声が聞こえてくる。
そのやりとりを聞きながらも、ノワールはしばらく床を睨みつけたままだった。
メンテナンスにひっかかり、頑張って書き上げた日記が消えてしまいました……がくり。拍手でも似たようなことあったなあ。
リハビリがてら、日記小話再開です。とりあえず五月いっぱい頑張るのが目標。
ということで第一弾は、brb番外で、12話途中のルークとノワール。結局ひよこ頭から逃れられない七歳児のお話(あれ?)。
本当はルークが乖離しやすくなっているのは障気が負担になっているからだとか、それでもゲーム終盤みたいに体が透けたりしないのはルークすらあずかり知らないところであれやこれやがおかしな具合になっているからだとかまあ裏設定(というか裏事情?)は色々あるのですが、ネタバレになるので控えます。普通のレプリカはもっと頑丈というか、乖離しにくいんじゃないかなあと思います。
昨日はアップロードしたIE8と格闘していました。なんだかこの子頑固なんですけど、どうしたら。
あんまり機能多くても使わないし、そもそも邪魔なので(使わない機能がずらっと並んでいるとうっとおしい)、要らないもしくは使わないだろう機能は片っ端からごりごり削っているのですが、なんだかたまに言うこと聞いてくれないことがあって困ります。だから、お気に入り中のその「お気に入りリスト」っていうのはいらないんですけど!
でも、タブの色が変わる機能なんかは可愛くて面白いなあと思います。ちょっとヤフーさんのところのニュースページなどに出入りして、タブの色をくるくる変えて遊んでいました。うん、何やっているんでしょうねわたし。そんなんだから、未だに中学生や高校生に間違われるんですよね。知ってますけどっ!
あと、HTML、ソース表示とソース編集で機能が別々になっているんですね。最初気づかなくて、どうしてソースに直接書き込めないんだろうと焦っていました。